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?本土間架橋推進型タイプ−?の離島の中で、本土架橋による整備が可能な離島群
?移住推進型タイプ注7)−内外いずれの整備を進めても効果が見込まれず、他地域へ移住を推進する離島群上記いずれのタイプに該当するか、離島個々のハザード状況に応じて的確な判断を行うことが必要である。なお、この判断を行う際に、本研究ではまずネットワークによる整備の可能性(?および?の離島群に該当するか否か)の検討を行い、その後、(?の中で)?に該当する離島群を選定する手順をとった。
(1)島内整備推進型離島の条件設定
本研究では、「社会ハザードに対し、相対的に立地ハザードの小さい離島群注8)と解釈する。本研究では、周辺地域との間の年間の人的移動量 注9)に着目した上で、この分類の特徴として「島内での医療、教育など各種機能が完結(充足)している影響として、移動量が少なくなっている」と仮説を立てた。
(2)移住推進型離島の条件設定
「立地ハザード、社会ハザードの総和が大きい離島群」と解釈する。この分類の特徴として「島内での各種機能は完結(充足)していないものの、移動量は立地ハザードが障害となり、少なくなっている」と仮説を立てた。なお両ハザードの相対評価は、まず両ハザードの値を以下の式より算出した後、相互ハザードの比較を行った。
1)立地ハザード値→(地域間距離/Σ(1日あたりの便数*利用船舶の定員))注10)
その後、標準化を行うことにより無次元化した。なお、Σ( )は、周辺地域に対する全航路の合計値である。
2)社会ハザード値→(分析−?で使用した39指標による物理量を説明変数、人口減少率を説明変数とした重回帰分析(自由増減法)を用い、地理6分類毎にリスク・ハザード間相互の関連性を把握した結果、説明変数との影響が確認された指標を抽出し、標準化により通約化した後、統合化を行った。
(3)本土間架橋推進離島の条件
本研究では本土間の最短距離200m内を一つの基準としてとらえた注11)。地域間の人的移動量の把握には、地域問距離および実際に発生した移動量(人/年)をもとに、重力モデルを用い作成した結果、Table.-4に示す式が得られた。なおその際に、本土地域(都市)は、現在の航路(海路、空路)により結ばれていることなどを理由に、全国83地域93都市を対象として選定した。表中の距離感応度より地域間のネットワーク化の可能性についてみてみると、離島本土間の値が1.23と低く、距離が持つハザードは少ない。むしろ、両地域の人口規模(P)により高い影響を受けるモデルとなっており、新規航路開設の場合、周辺離島の際には距離を、本土地域(都市)の際には本土都市の人口規模を考慮するモデルとなっている。

Table.-4 Models of Regional Gravity

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この式を用い、離島単位の人的移動量の合計(ΣF)により地域の中での各離島の集約性 注12)について評価し、地理6分類毎に集計したのがFig.-4である。地理6分類の中で、地域引力値の幅が大きいのは、内海近接型の離島であり、逆に、本土間のみの航路を持つ孤立大型離島、本土間以外の航路の少ない外海近接型、群島型主島の離島は得られた地域引力に大きな幅は見られない。地域内でのハザード改善を捉える場合、地域引力値の幅広い内海近接型の離島地域では地域引力の高い離島を拠点離島としたネットワーク化による地域整備が期待される。

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Fig.-4 Gravity model between islands

ここで、伊豆諸島をケーススタディとし、現在の航路と仮想に設定した航路により、集約性の検討を行う。結果をTable.-4に示す。なお、横浜市は不定期航路による離島との結節のため対象外とした。現在、南北300?の問に8島の研究対象が存在し、大島、利島、新島、式根島、神津島は一連の航路により本土と、三宅島、八丈島は上記の5島とは結節せず、直接、本土地域と結節している。利島、神津島といった一部の離島を除き、軒並み人口減少を示しており、その中若干ではあるが、三宅島、八丈島の値が低くなっている。集約性の単位は年間の人的移動量(人/年)であり、集約性は仮想航路を含め、総和をとることにより算出した。その結果、全国の離島の現状交通により作成し

 

 

 

 

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